10年以上会社を続けるというのは、実は簡単なことではありません。中小企業庁のデータによれば、創業から10年後に生き残っている企業は約70%といわれています。一見高い数字のようですが、業種や経済環境によってはさらに厳しいケースもあります。では、10年以上続く会社の経営者には、どのような共通点があるのでしょうか。成功体験や経営手法の話はよく語られますが、この記事ではあえて「やめたこと」に注目してみます。
「全部自分でやる」をやめた

創業期の経営者の多くは、営業も経理も採用も現場も、すべて自分でこなします。それは必要なことですし、会社を立ち上げる推進力にもなります。しかし、事業が成長するにつれて「自分がボトルネックになる」という問題が生じます。
10年続く経営者の多くが、ある時点で「任せること」を覚えています。完璧ではなくても自分より70%のクオリティでやってくれる人に仕事を渡す。最初は不安でも、任せることで自分の時間を「より重要な判断」に使えるようになる。この転換ができた経営者と、「自分がやったほうが早い・正確」という思いから抜け出せなかった経営者とでは、5年後・10年後の組織の強さに大きな差が生まれます。
「売上だけを追う」をやめた

事業の成長期には売上の拡大が最優先になりがちです。しかし、売上を追い続けるあまり、利益率の低い案件を取り続けたり、回収サイトの長い取引先との取引を拡大したりすることで、「売上は増えているのに手元にお金がない」という状況に陥るケースがあります。
長く続く経営者は、ある段階で「売上よりもキャッシュ」を意識するようになります。同じ1,000万円の売上でも、粗利率30%の案件と15%の案件では手元に残る利益が倍違います。また、回収サイトが長い取引は、売掛金として積み上がっても現金にはなりません。「数字を追う軸」を売上から利益・キャッシュに移したとき、経営の安定感が増すと多くの経営者が語っています。
「なんとなくの判断」をやめた

経営判断を「感覚」「経験」「雰囲気」だけで行う習慣を早めに手放した経営者は、長く続く傾向があります。もちろん、経営者の直感は重要な要素ですが、それを裏付ける数字や根拠を持つことで、判断の精度と再現性が上がります。
「先月より売掛金が増えているのはなぜか」「この案件の原価率が高くなっているのは何が原因か」——こうした問いを立て、数字で答えを探す習慣が根付いた経営者は、問題の発見が早く、対策も具体的になります。感覚を捨てるのではなく感覚を数字で検証できるかどうか。この習慣の差が、10年という時間の中で大きな差になります。
「助けを求めることへの抵抗」をやめた

「経営者は一人で問題を解決すべきだ」という思い込みを手放せた経営者は、外部の専門家・同業の仲間・金融機関などをうまく活用しています。専門家に相談すること、資金調達の手段を積極的に使うことは、弱さではなく経営の知恵です。
ファクタリングや融資を「最後の手段」として捉えるのをやめ、経営ツールのひとつとして位置づけている経営者は、資金繰りの危機に追い込まれる前に手を打てます。「まだ大丈夫」という状況のうちに選択肢を広げておくこと。これも、長く続く経営者が若い頃に身につけた姿勢のひとつです。
「やめること」が経営を強くする

成功のための「やること」を増やすより、経営を阻害する「やめること」を見つけるほうが、実は早く経営が改善されることがあります。全部自分でやる、売上だけ追う、なんとなく判断する、一人で抱え込む——これらをやめることで生まれる「余白」が、次の成長のための時間と思考を生み出します。
あなたが今続けているもののうち、やめてもいいことは何でしょうか。その問いを持ち続けることが、10年先の会社をつくる第一歩かもしれません。
よくある質問
Q1「任せること」が怖い場合、どこから始めればよいですか?
Q2売上よりキャッシュを重視するとは、具体的にどういうことですか?
Q3外部の専門家をうまく使うコツはありますか?
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