IT技術の進化・進歩が急速に進む中、最近注目されているチャットGPTについては特に話題を集めています。
進化し過ぎて負の側面を危険視する意見もあるものの、正の側面として様々な分野で活用が期待されているのも確かです。
すでにチャットGPTの本格利用を開始している企業もあるので、本章ではチャットGPTを活用する企業やどのような利用をしているのか見ていきたいと思います。

■チャットGPTでできることやメリットは?

チャットGPTの出来ることを質問するイメージ画像

初めにチャットGPTがどのようなものか、何ができるのかを簡単に押さえ、そこから見えてくる企業としてのメリットを確認します。
従来から存在していたチャットボットのような機能は、あらかじめ人間の開発者が用意した想定問答を繰り返す程度で、AI自身が自ら思考し、情報収集し、回答を導くという高度な機能は持ち合わせていませんでした。
チャットGPTは生成AIなどとも呼ばれ、自分で考えて回答を導き出せる点で大きな違いがあります。
しかも人間のような受け答えが可能なことから、ごく自然なやり取りができるという特徴があります。
これを活用する企業のメリットとしては、課題解決のための情報収集を短時間で行えることがまず挙げられます。
担当者レベルの具体的な作業内容としては、プレゼン資料の文章作成や文章の要約、外国語の翻訳などが可能です。
これはごく基本的な機能であり、必要に応じて機能をカスタマイズすることもできますから、自社の目的に沿った活用法を別途検討できます。
世に登場してまだ間もないため、多くのポテンシャルを秘めているチャットGPTですが、すでに本格活用をしている企業も登場しています。
次の項で活用例を見てみましょう。

■企業におけるチャットGPTの活用例

チャットGPTイメージ画像

①Omneky社

AI広告の作成を手掛けるOmnekyはチャットGPTの機能を活用した広告の自動生成機能「Creative Assistant」を提供しています。
クリエイティブな発想が求められる広告は経験を持つ専門家でないと難しいものですが、生成AIの利点を持つチャットGPTの機能を活用すれば機能的な広告制作が可能になります。

②Parame社

人材の中途採用時に対象者に問題が無いか調査することは現代の企業リスク管理の面で重要です。
この調査をリファレンスチェックといいますが、採用担当者にとってどのような質問をすべきか悩むこともあるかもしれません。
リファレンスチェックで質問内容を自動生成し、その回答結果からリスク判定もできる「Parame Recruit」という機能が同社から提供されています。

③Orange Moon社

企業では各種のマニュアルを作成、運用することが多く、必ずしも精通する者が担当者になるわけではないため、不慣れな分野のマニュアル運用を担当することになると不都合がでます。
同社はチャットGPTを活用してマニュアルを自動生成できる機能を提供しています。

④エボラニ社

従来のボットによる機械的な受け答えだけでなく、チャットGPTの機能を組み合わせてさらに高度で自然な受け答えができるようにした機能「anybot for ChatGPT」を開発し、自社で運用しています。

⑤クレジット・プライシング・コーポレーション

同社は国内の非上場企業100万社以上の企業情報を要約する機能を提供しています。
投資家にとって投資対象の選定は非常に重要であるところ、上場企業であれば多くの情報が開示されていますが、非上場企業の情報収集は容易ではありません。
これを楽に遂行することができ、同機能が日本の投資を活発にする動力となるかもしれません。

⑥Yoom社

各種の業務自動化を支援する同社は、ChatGPTとAPI連携により手間のかかる作業の自動化を実現しています。
受け取ったメールからその企業名やアドレスを自動でデータベースに取り込むなど、人間がやると非常に手間のかかる作業を自動化してくれます。
以上、チャットGPTの企業における活用例をいくつか見てきましたが、現状チャットGPTの利用には注意しなければならないこともあります。

■チャットGPT利用における注意点

注意危険をイメージした画像

チャットGPTは自ら学習できる機能がありますが、現状では質問に対して間違った回答を平気で出してくるなど、信頼性の面でまた不安が残ります。
提示される情報のファクトチェックは必ず人間の手で行うようにしましょう。
また特定の考え方に近い情報を引き出してしまい回答にバイアスがかかることもあります。
必ずしも間違いとは言えなくとも、不正確な情報を提示されることもあるので、人間によるファクトチェックの際には複数の情報源にあたる必要があります。

■まとめ
まとめ画像
本章ではチャットGPTの活用例について見てきました。
すでに各企業ではチャットGPTを実装して様々な機能が開発、運用されています。
まだ様子見という企業もあると思いますが、今後間違いなく利用の促進が進むと思いますので、自社内でどのような運用が可能か早めに検討を始めておくことが推奨されます。