日本国内では現在物価の高騰や電気ガスなどのインフラ料金の高騰が続いています。
海外の紛争など世界情勢や為替事情も複雑に関係してくる中で、国民は目の前の物価高騰に悩まされていますね。
ただ少し前までは「デフレ脱却」の旗印が掲げられていましたし、デフレ経済を脱する機会ととらえることもできます。
本章では脱デフレを見据えて会社と個人それぞれへの影響について考えてみましょう。
■長く続いたデフレ経済
日本国内ではかなり以前からデフレ経済が続いていた経緯があります。
亡くなられた安倍政権時代からデフレ経済の転換を地道に図っていて、「富の拡大」や「デフレからの脱却」が強く叫ばれていたところです。
デフレが長く続いた要因はいくつかあり、まず安い輸入品が増加したことが一つ大きな要因になります。
これは製品の供給にかかる構造的な要因で、これに景気の弱さや金融方面の影響なども相まって国内では長らくデフレが続いていました。
一般の消費者にとっては商品が安く買えるから良いと短絡的に考えてしまいがちですが、デフレは単なる安売りとはわけが違います。
デパートの年末セールなどの安売りは、決算期で在庫処分をするためなど一時的な狙いを持って行われます。
デフレは一時的なものではなく、経済全体の構造的な要因から長期的に安売りが続けられるようなイメージです。
最初はモノが安いと喜んでいても、給料など収入も上がらないわけですから消費意欲も減退します。
その結果、循環が悪くなった日本経済は力を失っていたというのがこれまでの経緯です。
■ようやくデフレ脱却の兆しが
安倍内閣が終焉し岸田内閣が始動した後もデフレはしばらく続いていましたが、その後海外の紛争などを要因とした物価の急上昇が起きます。
この段階での物価上昇はコストプッシュ型と呼ばれ、国内の経済が盛り返したのではなくエネルギー価格や資材価格の高騰からくる不本意な物価の上昇です。
そのため当初はこの対応に追われたわけですが、そのうち実体経済が伴う形が追い付いてきます。
国内の賃上げ機運が一気に高まり、実際に大企業を中心として大幅な賃上げが実施されました。
これを受けて日銀も政策金利の見直しを決定、ついに金利のある世の中が到来します。
国内の要所要所でギアが連動し、「さあ行くぞ!」という盛り上げ機運が一気に高まった感じでしたね。
ただ今の段階でも完全なデフレ脱却とまでは至っていません。
本格的なデフレ脱却を目指すべく政府がかじ取りを行っているわけですが、私たち一般の国民や企業にはどのような影響が出てくるのでしょうか。
■個人への影響は?
まず個人への影響ですが、目の前の現状として生活に関わる様々なモノが値上りしていますから、すでに家計に負担を感じている家庭が多いと思います。
賃金の上昇がこれに遅れずについてきてくれれば良いのですが、中小の会社にお勤めの場合は賃上げがかなり遅れてくることがあるので、しばらくは家計管理に気をもみそうです。
金利の上昇により住宅ローンの金利も上がっていますから、現状でローンの返済が続いている人は返済プランに支障が出ないか見直しをお勧めします。
これからマイホームの購入を考えている方は、変動金利か固定金利かで悩むかもしれません。
金利上昇局面では一般的に固定金利が有利とされますが、変動金利はそもそも低金利で売られているので、今後の利上げがあまり進まなければ変動金利の方が有利かもしれません。
住宅市場はこの面で気を使いそうです。
賃上げが実施されたことで初任給から優遇される人もいる一方、収入がなかなか増えない人もいると思います。
余裕ない人は家計の見直しを行い、余裕がある人も使い切らないで貯蓄や投資に回すなどの家計管理を実施しましょう。
家計見直しのポイントはずばり固定費です。
住宅や教育関連、保険、自動車、通信などに関する固定費を見直してみましょう。
また日常の生活では電気やガスなどの生活インフラ費用も増しています。
アンペアの見直しができれば固定費の削減になりますが、そこまでしない場合でも可能な範囲で節電や節水を心がけてみましょう。
電力会社は夏の時季に節電ポイントキャンペーンをやるところが多く、ゲーム感覚で参加できるのでお勧めです。
環境保護にも貢献する流行りのSDGsになりますから、ぜひ意識してみてください。
家計の見直しで余裕が生まれたら、NISAやiDeCoなどの投資を考えてみても良いと思います。
投資に回せる余裕がなく、物価上昇に収入が追い付いていないと感じたら、副業で追加の収入を増やせないか考えてみてください。
■企業への影響はどうなる?
次に企業への影響について考えてみましょう。
企業の場合、まず仕入れ面でのコスト増が懸念されます。
すでに仕入コスト上昇に伴って価格転嫁を実施している所が多いと思いますが、一気に大幅な値上げをすると顧客離れが起きるので、適切なタイミングで少しずつ実施していくのが安全です。
転嫁実施が遅れるとそれだけ長い期間収益の圧迫が起きるので経営が苦しくなります。
対顧客の面で価格転嫁のタイミング調整を図ってください。
また従業員を抱えている場合、こちら方面では賃上げの検討が必要になります。
脱デフレで世間の物価が上昇する中、賃金が上がらないと不満が出るのは仕方がありません。
仕入のコスト増の中で社内の賃上げにどう手を打っていくのか、経営者としては心配なところがあるかもしれませんね。
そして資金繰りの難度が上がる可能性についても触れておきます。
金利上昇に伴い、借り入れに係る金利負担が増すことが懸念されます。
会社の資金繰りに影響が出る可能性があるので、こちら方面でも注意が必要です。
■まとめ
本章では長らく問題になっていたデフレ経済の現状と、脱デフレを見据えて会社、個人それぞれの影響について見てきました。
デフレ脱却に向けた転換期が訪れているというのは多くの方が実感していると思いますが、完全な脱却にはまだ至っていません。
様々な要因から物価の上昇はこれからも続く予想ですので、個人はもとより企業としても準備が求められます。
この記事へのコメントはありません。