物価高などで消費者にはあまり良いニュースが聞こえてこない昨今、株式市場では日本株の価格上昇が話題になっています。
日本経済の良し悪しを見る日経平均株価がここにきて急上昇を見せているので、本章では株価上昇の要因や今後の見通しなどについて解説していきます。
Contents
■3万2000円台突破は33年ぶり
ここ最近、日経平均株価は急上昇を続けており、バブル崩壊後の高値更新を続けています。
2023年6月5日には3万2000円台を突破し、これは33年ぶりの数字です。
日本株は底堅さがあるとされていますが、近年の日経平均株価の価格について推移を簡単に確認してみましょう。
■近年の日経平均株価の推移
ここではごく最近までを振り返り株価の推移をざっくりと確認します。
①2020年
世界的に大きな影響を与えたコロナショックは日本経済にも甚大なダメージを与えます。
株価は急落し3月にはそれまでより30%下落して16000円台となります。
②2021年
2月には30年ぶりに日経平均株価が3万円台に回復したというニュースが話題になりました。
株価的にはコロナ前の水準にまで回復した形です。
その後アメリカでインフレの懸念が高まり、3月には2万8千円台に値下がりしますが、9月には菅元首相の再選不出馬表明を受け、経済面で期待感が高まり再び3万円台に回復します。
③2022年~現在
2022年には原油価格の高騰などが影響し、一時日経平均が急激に下落します。
しかし2023年に入るとコロナの影響も弱まり、世界的に経済の活性が回復したこともあって5月には3万円台に回復します。
6月にはさらに価格は上昇し3万2千円台に到達しました。
2023年7月最新の株価としては、一時3万4000円まで上昇を見せています。
価格の上下について変遷はあるものの、日本株の底硬さを感じることができます。
■株価上昇の要因は?
最近の株価上昇の要因としては以下のように複数考えられます。
①欧米の金融不安が緩和
一つは、世界経済をけん引する欧米の金融不安が緩和したことから、投資家の安心感が強まり、これが日本株に波及したと考えられます。
②好調な決算による安心感
円安の効果で売り上げを伸ばし好調な決算を示した企業が多く出たことから、これも投資家を安心させ、投資意欲を引き出す要因になったと考えられます。
コロナに関しては、完全収束はまだであるとしても、すでに人々の意識としては影響はほぼなくなっており、経済活動はほぼ以前と同じくらいにまで回復していると見ることができます。
これにより業績を伸ばす企業が増え、株価上昇の動力となっています。
③国内企業の自社株買い
東京証券取引所は、PBR(株価純資産倍率)と呼ばれる指標が低い企業に対して改善を求める通知を出しました。
この呼びかけで各社は自社株式を購入しPBRを上昇させる動きを見せます。
自社株買いにより市場での供給量が減り、価格上昇の要因となります。
④アメリカの債務不履行が回避された
心配されていたアメリカのデフォルトリスクについては、バイデン大統領と議会とで綱引きがされていたところです。
バイデン氏としては債務不履行を何としても避けたいと考えますが、議会は支出削減を徹底しない限りは認めないと激しく対立していました。
これまでよりも強硬な姿勢を見せる議会の態度を見て、本格的にデフォルトリスクを心配する声もありました。
結果的にこれは回避され、アメリカはもちろん、世界の投資家を安心させました。
⑤ウォーレンバフェット効果
世界的に有名な投資家であるウォーレンバフェット氏が、将来性のある日本株を名指しで高く評価し、自身も積極的に購入しているということが判明します。
これが全投資家に大きな影響を与えます。
「あのウォーレンバフェットが評価しているなら間違いない」と日本株に注文が集まるようになり、価格上昇に大きな影響を与えたとされています。
■今後の見通しはどうなる?
今後の株価の推移がどうなるかについてですが、これには色々な見方があります。
長期的にはさらに株価上昇を予想する声もありますが、日本は今後人口減少に伴って経済活動が縮小するとして、それほど大きな上昇を期待するのは難しいとする声もあります。
世界的には人口増加に向かっているとされているので、世界の需要をどう捉えるか、日本企業が世界の需要に対応していけるかどうかがカギになりそうです。
一方、短期的な予想としては、海外企業を積極的に買収して世界の需要を捉えていけるとの予想があり、これから数年の短期的なレンジでは比較的楽観視できるのではないかと思われます。
■今後の株価動向に影響する要素は?
では今後の日本株に影響を与える要素としてはどのようなものが考えられるでしょうか。
①円安がいつまで続くか
海外投資家からの期待が高いのは、円安の影響で輸出企業や観光業などが好調を見せているためです。
円安は輸入企業にダメージとなっているので、政府が過度な円安の抑制に動くようであれば海外投資家の見方も変わってきます。
②実体経済の改善がみられるか
現在は株価の急上昇に実体経済の回復が追い付いていない状況です。
株価上昇の機運を受けて実体経済が本格的な回復を見せることができれば、投資家の安心感を強めることができ、さらなる株価上昇につながります。
③機関投資家離れが起きるか
現在は大口の投資元である機関投資家が日本株を購入しています。
その動きを見て、今後個人投資家が多く参入してくると、将来性に限界を感じて機関投資家が離れていくことがあるかもしれません。
機関投資家が多くの株を売却すると市場に株式があふれて価値が大きく下落します。
■まとめ
この回では、上昇が続く日経平均株価の理由や今後の見通しについて見てきました。
ここ数年で日本の株は上昇傾向にあり、2023年7月には3万円台を大きく超えるなどの堅調な推移を見せています。
有名投資家も名指しで日本株を好評していますから、日本企業の株は投資家にとって魅力があることは間違いないようです。
コロナの影響もほぼなくなった感じですので、立ち上がりを見せている日本企業に大きな期待を持ちたいところですね。
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