私たちの社会で「〇〇ハラスメント」と呼ばれる事象が増えてきたのはいつ頃だったでしょうか、少なくとも十数年以上前から聞くものですが、最近は種類がやたらと増えてきておさまりが付かない状況です。
軽い事例から人の尊厳や命にかかわる重大な事態まで幅も広く、会社などの組織においては対策の難しさに頭を抱えているかもしれません。
この回では〇〇ハラスメントが増えている実態や、経営者が対応するための方法、ポイントなどについて見ていきます。

そもそもハラスメントとは

そもそもハラスメントとは

そもそも「ハラスメント」とは一体何なのかということですが、意味としては人権侵害や人に対する嫌がらせ、いじめなどの意味を持つ言葉です。
至る所で聞かれるようになった言葉ですけれども、それはつまり私たちの社会の中で嫌がらせやいじめ、人権侵害が往々にして起こっているということです。
組織のマネジメントを考える時、ハラスメントが横行するような組織では会社の一体感が保てませんし、業務の推進にも影響が出ます。
場合によっては経営者が管理監督責任を問われる事態にもなりかねませんから、会社組織のハラスメント対策は組織運営上の重要な課題になります。
では〇〇ハラスメントの類にどのような種類があるのか見てみましょう。

どんなハラスメントがある?

どんなハラスメントがある?

ざっと調べたところ、一般的に知られるようなもの以外にも数多くのハラスメントが報告されていて、とてもすべて挙げきれるものではありません。
セクハラ、パワハラ、カスハラ、マタハラ(マタニティーハラスメント)、ジタハラ(時短ハラスメント)スメハラ(スメルハラスメント)などなど、まるで言葉遊びのような面もありますが、とにかく数が多いです。
そういえば、国内で最初に「ハラスメント」の問題が出てきた当初はたしか「セクハラ」だったと記憶しています。
当時は社内の男性の上役が部下の女性にちょっかいを出す、あるいは取引先の男性役員が自社の女性社員に、、というような感じで女性が被害を受けるということで問題化されたはずです。
今ではセクハラは男性も対象になっていますし、嫌がらせの種類も増えてセクハラ、パワハラなどが代表格になっています。
最近は特にカスハラ(カスタマーハラスメント)が大きな問題になっているので、カスハラについては後段で枠を取って解説する予定です。
次の項では、ハラスメントの代表格であるセクハラについて、厚生労働省が公表している事業主が取るべき措置のポイントを見ていきたいと思います。

事業主が取り組むべき措置とは?

事業主が取り組むべき措置とは?

セクハラに関しては、厚生労働省は事業主に対して以下の措置を講ずることを求めています。

①事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

・セクハラがどのようなものかを示したうえで、会社としてセクハラを許さないことについて、管理監督者を含む労働者に明示すること。
・セクハラをした者には厳正に対処する旨の方針や対処の内容を就業規則等の文書に規定し周知すること。

②相談・苦情に応じ、適切に対処するために必要な体制の整備

・相談窓口を定めること。
・現実に発生した事案だけでなく発生の恐れのある事案についても相談に応じること。

③職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応

・事実関係を迅速かつ正確に確認すること
・事実確認ができた場合は速やかに被害者に配慮のある措置を適正に行うこと。
・同時に加害者に対する措置を適正に行うこと。
・再発防止に向けた措置を講ずること。

④合わせて講ずべき措置

・相談者、行為者のプライバシー保護のために必要な措置を講ずること。
・相談したこと、事実関係の確認に協力したことなどを理由に不利益な扱いをしてはならない旨を定め、これを周知、啓発すること。

以上が厚生労働省が事業主に求めるものです。
もし社内規定に以上のような内容が入っていない場合、文書の形にまとめられるように既定の見直しを考えてみましょう。

最近先鋭化しているカスハラ問題

最近先鋭化しているカスハラ問題

さらには最近かなり大きな問題になっているカスハラです。
こちらは日本の「おもてなし文化」や「お客様は神様だ」的な要素も絡んで対応が非常に難しいとされています。
日本の商い文化としてお客さんに強く出られないことをいいことに、無理難題を押し付ける、あるいは無理難題を言って困っている店員を見て喜ぶような、もはや客とも言えない輩もいるようです。
これを放置してしまうと従業員を守ることができなかった会社に責任が生じますし、何より健全な日本社会が壊れてしまいます。
カスハラは程度によっては犯罪行為にもなりますから、問題のある行為に対しては毅然とした対応が求められます。
最近はコンビニなどでもカスハラ対策に力を入れて迷惑客を許さない姿勢を見せているので、とても良い傾向です。
カスハラ対策に関してはぜひ弁護士などの専門家に相談して、その会社にあった対策マニュアルを整備して欲しいと思いますが、取り急ぎは以下の要点だけでも押さえておいてください。

①ひとりで対応させない、判断させない
現場のスタッフが迷惑客の要求に応じて謝罪文などを安易に書かない、必ず上司の判断を仰ぐこと。また特定のスタッフに対応を押し付けず、組織として対応するようにします。

②毅然と対応する旨をあらかじめ外に向けて表明しておく
横暴な振る舞いには毅然と対応し、退店、退去頂くことを明文にして外部に表示しておきます。

③ すぐに謝罪をしない
安易に謝罪をすると相手の行為を認めたことになるので、謝罪要求に安易に応じないようにします。

④ 警察への連絡をためらわない
スタッフや他の客の身体、財産等に被害が及びそうな場合は躊躇せず警察に連絡すること。

以上、取り急ぎカスハラ対策の要点をまとめましたので参考にしてください。

まとめ

本章では〇〇ハラスメントが増えている実態や、対応のポイントなどについて見てきました。
セクハラ、パワハラ、カスハラなどは自分の優位性を利用して相手を貶める行為であり、許されるものではありません。
もし自社の社員が被害を受けた場合には経営者として責任を問われる可能性があるので、ハラスメント対策も経営者の義務の一つと考えて対応してください。