企業経営を進めるにあたり必ず直面するのが資金調達の問題です。
資金面の問題に正しく対処できないと、会社の運営は窮地に陥ることになります。
資金調達の手段や方法はいくつかあり、最近はファクタリングという方法も知られるようになってきました。
本章ではファクタリングとはどのようなものか、仕組みやメリット・デメリットについて解説します。

■ファクタリングとは

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一般的な資金調達手段である融資や借り入れは資金取引であり、法律上は金銭消費貸借契約にあたります。
ファクタリングはこれとは全く異なるもので、法律上は債権の譲渡取引にあたります。
国内企業の多くは掛け取引を行っていると思いますが、商品やサービスを提供する側の事業者には売掛債権が発生します。
この売掛債権を譲渡して現金化するのがファクタリングです。
見方を変えれば、本来は期日にならないと資金化できないところ、期日前の換金が可能ということで、「売掛債権の早期現金化」などと表現されることもあります。
急な資金難には救いの一手となり得ますが、売掛債権の譲渡にあたっては一定の手数料を支払うことになるので、換金ロスが生じることになります。

■ファクタリング取引の仕組みとパターン

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ではファクタリングの具体的な取り引きの仕組みを見ていきます。
実際の取引では二社間取引と三社間取引の二つのパターンがあり、手数料の負担や迅速性、信用面への影響などで違いがでます。

①二社間取引

二社間取引は債権を譲渡する企業とファクタリング業者の二社だけが取引の当事者になり、売掛先企業は取引の当事者となりません。
売掛先にファクタリングの利用を知られないように進める事ができるので、信用面で影響が出ないメリットがあります。
その代わり手数料は三社間取引と比べて割高になります。
業者によって、また事案によっても異なりますが、手数料は10%~30%程度となる事が多いようです。
二社間取引の手順を簡単にまとめると以下のようになります。

1債権譲渡企業とファクタリング業者で契約締結
2ファクタリング業者が買い取り代金を支払う
3売掛金の支払い期日に売掛先から債権譲渡企業に通常通り支払いがなされる
4債権譲渡企業がファクタリング業者に売掛金を移送する

二社間取引では売掛先はファクタリングの事実を知らないので、上の3番の通り期日になれば通常通りに売掛金の支払いを行います。
この資金をファクタリング業者に送金して取引が完了します。

②三社間取引

こちらは売掛先企業の同意を取って進める方式で、売掛先も取引当事者となります。
当然ファクタリングの利用を知られることになるので、信用面で影響が出る可能性があります。
また同意を取り付けるための交渉に時間がかかるので、取引をまとめ資金調達が実現するまでに時間がかかる場合もあります。
代わりに手数料の面では二社間取引よりも有利になり、こちらも業者や個別の事案によって異なるものの2%~10%程度になる事が多いとされています。

三社間取引の手順をまとめると以下のようになります。

1売掛先の同意を取る
2債権譲渡企業、売掛先、ファクタリング業者で締約締結
3ファクタリング業者から債権譲渡企業に代金が支払われる
4売掛先からファクタリング業者に売掛金が支払われる

こちらは二社間取引と違い、売掛先が契約当事者となっているので、売掛金は債権譲渡企業を経由せず、ファクタリング業者に直接支払われます。

■ファクタリングのメリット

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一般的に、ファクタリングには以下のようなメリットがあるとされています。

①借り入れに頼らず信用低下を避けられる
②迅速な資金確保が可能
③ノンリコース取引が可能
④赤字などがあっても利用可能

借り入れや融資は会計上は負債の増加となるところ、ファクタリングは債権の譲渡取引であることから負債が増加しません。
またノンリコース取引と言って、万が一売掛先が倒産するなどして資金回収が望めなくなった場合にも、債権譲渡企業はその責任を負わずに済むので、安心して債権を譲渡することができます。
またファクタリングは債権を譲渡する企業よりも売掛先の信用がメインになるので、赤字があっても利用できることがある、などのメリットが言われています。

■ファクタリングのデメリット

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一方でファクタリングには以下のようなデメリットがあります。

①手数料が高い

三社間取引では手数料負担が若干抑えられますが、全体としては一般的な融資の利息負担と比べるとファクタリングの手数料負担の方が相当大きくなるので、換金ロスが大きな負担となります。

②売掛金以上の資金調達はできない

ファクタリングは売掛債権の現金化であることから、その債権の価額以上の資金確保は望めません。
必要金額の多寡によっては目的を達成できないこともあります。

③分割払いができない

融資の返済と違い、ファクタリングには返済という概念自体がありません。
二社間取引では売掛金が一旦債権譲渡企業を経由してファクタリング業者に渡りますが、その際に分割での支払いは認められません。
売掛金の所有権はファクタリング業者に移転しているので、資金は期日に全額の移送が必要です。

④債権譲渡登記が必要なことも

二社間取引は売掛先の合意がないことから、債権の二重譲渡のリスクがあります。
これに備えるために債権譲渡登記が求められることが多く、その登記費用は債権を譲渡する企業が負担しなければならない場合もあります。
また可能性は低いですが、債権譲渡登記は誰でも閲覧できるので、もし売掛先やその他取引関係にある企業の目に留まればファクタリング利用の事実を知られることになります。

⑤その後の取引に影響する可能性

三社間取引では売掛先の承諾が必要です。
相談すること自体、相手方からの信用低下につながる危険がある他、仮に承諾が取れたとしても、今後また資金難に陥る可能性のある会社と取引を続けることについて売掛先が不安を覚えるかもしれません。
その後の取引を敬遠されるかもしれませんし、ファクタリング利用の事実が他社にも漏れることで、別の会社からも取引を敬遠される可能性が出てきます。

⑥不良業者の存在

貸金取引を行う正規の金融業者は貸金業法の適用を受け、監督官庁からの監督・指導を受ける立場ですので、適正なルールの範囲で事業を行います。
ファクタリングは現在そのような法規制がなく、誰でも参入できるため中には素性の良くない悪質な業者もいることが報告されています。
悪質業者と付き合ってしまうと有利な資金調達ができないばかりでなく、様々なトラブルに巻き込まれてしまう危険があります。
もし利用するのであれば安全性の確認は絶対に怠らないようにしましょう。
ファクタリングには一定のメリットもある反面、こうしたデメリットもあるので利用を考える場合は自社の立場や取引相手との関係性などをよく考慮して検討することが大切です。

■ファンドワンの事業性融資は低負担で迅速確実!

ファウンドワン事業融資

弊社ファンドワンが提供する事業性融資はファクタリングの利点である迅速性や赤字があっても利用できるなどのメリットを全て兼ね備えていますので、ファクタリングに頼らずとも有利な資金調達が可能です。
弊社では無担保無保証人のプランはもちろん、動産や不動産などの有担保プランも用意致しておりますので、まとまった資金確保も問題ありません。
クリニックや調剤薬局、介護事業者様などであれば、診療報酬債権や調剤報酬債権、介護報酬債権を担保にした融資も可能です。
ご返済は分割払いも可能で、事情に応じた柔軟な資金調達が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

■まとめ

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この回ではファクタリングの仕組みやメリット・デメリットについて見てきました。
近年名前が聞かれるようになったファクタリングは売掛債権の譲渡による現金化のことで、事業資金の調達手段として一定の機能を果たします。
メリットもある一方でデメリットもあるので、利用に際しては自社への影響等を考慮の上で検討するようにしましょう。