世の中には大小様々な企業が存在し、業種も従業員数も経営者の経歴から性格まで全く違います。
人によって性格が異なるように、企業の数だけ異なる企業文化が存在し、それらは尊重されるべきです。
しかしながら成功できる会社とそうでない会社が厳として存在するわけで、事業を成功に導ける企業文化を創造することも経営者としての役割の一つです。
本章では成功する企業文化を構築するための方法や注意点について解説していきます。

Contents

企業文化とは

企業文化とは

そもそも企業文化とは何なのか押さえておきましょう。
似たような概念に社風や組織風土といったワードもありますが、ざっくりいうと企業文化はそれら類似する概念を全て包含するものだと思ってください。
社風は今現在その会社で働いている人々が醸し出す現場の雰囲気や人間関係などを表し、組織風土、あるいは企業風土というと今現在のその会社全体のカラーや体質のようなものを表すものと理解されます。
細かい受け取り方は人によって多少異なると思いますが、企業文化は今現在の事にとどまらず、過去から現在までの歴史も含めて企業文化と称されるということです。
過去から現在に至る時間の流れの中で培われてきた、その会社の歴史が企業文化として存在するものと思ってください。
創設当初から脈々と受け継がれてきた組織の在り方や社員の行動規範などの全てが企業文化として存在するということです。

成功するために企業文化の構築が重要とされる理由

成功するために企業文化の構築が重要とされる理由

では企業として成功するために企業文化の構築が重要とされる理由は何なのでしょうか。
ここでは大きく3つの理由を挙げて見ていきます。

①企業体としての一体感を作り上げる

従業員一人一人はドライな見方をすれば自分の生活のために自身の労働力や時間を提供してお金に変えている被雇用者としての存在でしかありません。
しかしながら、成功している企業を見てみると従業員は必ずしもそのようなドライな存在ではありません。
成功している企業では社員が生き生きと働いており、そうした環境がさらに魅力的な企業文化を構築していく要因となります。
「自分はこの会社の一員なんだ」と誇りを持てるベースがあることで、会社全体の一体感を高めることができます。

②持続的な生産性の向上

人のやる気を出すための理論や手法は様々研究されていますが、たった一つの正解というものは存在しません。
結局のところ社員個々人に心からのやる気を出してもらわないと持続的、安定的な生産性の向上は望めません。
自分が勤めている会社を本心で好きになってもらうことができなければ、いくら高給などで釣ったとしてもそれは打算の結果であり、永続した貢献は望めないかもしれません。
望ましい企業文化を構築して社員の本心からの貢献を引き出すことができれば、安定した生産性の向上が期待できるようになります。

③個×組織で相乗効果

個々人の生産性を引き出すことも大切ですが、組織力を介在させることで個の力を倍々に増幅させることができます。
個人が所属する部署、部門が従業員の力を引き出し、組織として引き上げることで相乗効果を生み、個々人では成し遂げられない成果を生むことが可能になります。

企業文化を構築する方法

企業文化を構築する方法

ここでは企業文化を構築するための方法について見ていきます。

①経営理念を共有する

経営理念は言い換えると組織としてのビジョンであり、企業として達成したい目標や理想などにあたります。
従業員個人としては経営理念を理解できなくても目の前の仕事は行えるかもしれませんが、それではただやっつけ仕事をする機械のようなものです。
会社が向かうべき理想の姿があり、これを社員が理解することで組織としての一体感が生まれます。

②社会に何を提供するか共有する

ビジネスが成り立つ根源として社会に役立つ理由が求められます。
基本的に、単なる金儲けと思われるようなビジネスでも、持続的に続けていくためには社会の役に立てることが必要要素となります。
例えばですが、一時期流行った「セドリ(背取り)」という個人ビジネス?がありましたね。
市場の中古書店で売られている書籍の中から、需要が大きいのに割り安で売られている本を背表紙で判断し、手早く抜き取ってかごに入れて大量に購入し、ネット等で売りさばく転売ビジネスの一種として知られています。
一見すると個人の金儲けの類に思えてネガティブな受け取りをする人もいると思いますが、これとて市場で需要が無ければ成り立ちません。
割り安で買いたいという需要があり、その需要に応えられればビジネスとして成り立ちます。
逆に需要がなければどんなビジネスも成り立ちません。
株の売買も買いたい人と売りたい人がいて成り立つように、社会の需要に会社がどのように貢献するのかのビジョンを明確に示し、共有することが大切です。

③独自のスタイルを磨く

社会の需要に対して企業としての価値をどのように提供するのか、他社のマネではない、我が社ならではのやり方・スタイルも企業文化の要素となります。

④会社に共鳴する人材を育てる

企業理念や大切にする価値観などに共鳴する人材も企業文化の一要素となります。
組織の中にいれば自然とその会社にふさわしい人材に育つとも言えますが、中には共鳴できず会社を去る人材も出てくるかもしれません。
これは自然な新陳代謝ですのであまり気にする必要はなく、自然な形でマッチングする社員を大切に育てることが肝要です。

⑤企業トップが歴史を醸す

代々続いてきた企業は、歴代のトップから脈々と受け継いできた歴史が会社の企業文化を醸し、これを受け継いだ後継者や従業員が企業文化を創造していきます。
自動車業界で名高いトヨタ自動車の「カイゼン」も企業文化の一つと言って良いでしょう。
業務の中で見られる非効率や無駄をどうやって改善するか、社員が皆で考えて自走式に改良を図る仕組みです。
創業者の手を離れても自走的になされる文化は他社も見習うところはあるでしょう。
若い企業で歴史が浅くても、トップの経営センスが伴えば早期に企業文化の構築は可能です。
ただし性急に独自性を出そうとすると思わしくない結果を招くことになりかねないので、焦りは禁物です。

まとめ

この回では成功する企業文化を構築するための方法や注意点について見てきました。
企業文化とは何かと考えると明確な定義を掴みづらいかもしれません。
突き詰めると、企業文化はその会社の独自性や独創性と言い換えることができそうです。
社会に必要とされる企業として、どのような貢献ができるのかを真摯に考えていく中で自然と企業文化が養われていくことでしょう。