会社経営者はやりがいや喜びを感じられる一方、会社のかじ取りを担う重い責任も負います。
会社経営に浮き沈みがあるのは当然として、倒産する企業経営者には共通するいくつかの特徴を見ることができます。
本章では倒産する企業の経営者に共通する特徴をいくつか挙げて見ていきたいと思います。

■倫理観が薄い

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真っ当な企業経営を続けていく経営者には高い倫理観が求められます。
「倫理観で金儲けができるのか?」という声が聞こえてきそうですが、倫理観があれば経営が成功するというものではなく、他にも必要な素質が多くあり、倫理観はその一つに過ぎません。
金儲け第一主義のような考えでは短期の儲けは出せたとしてもそれで終わりです。
経営とは長距離走であり、人の役に立つという意識が無ければそのようなサービスなり商品なりを継続して提供するのは難しいでしょう。
ルールを逸脱しても儲けを出すのだ、という考えでは例え起業しても長続きはしません。
結局のところ、私たちの社会は公正でなければ継続してビジネスを続けられない構造になっているのです。

■社会還元の意識がない

成功する経営者は儲けを得たなら適度に社会に還元するという姿勢を持っています。
自社の儲けが多少削られたとしても、それが社会に還元すればいずれはまた自社の儲けになって返ってくるという考えです。
逆に「少しの損失も許さない」「社会に還元などしない」という意識の経営者で成功を収めた例はまず聞きません。

■短期的な儲けを意識しがち

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経営者たるもの利益を追求するのは使命と言えますし、会社法人としても利益の追求は株主に対する責任でもあります。
問題は経営者個人の資質として、長期的な目線で儲けを継続して出していけるように戦略を練ることができるかどうかです。
上でも見たように経営は長距離走と同じで、継続して儲けを出していけなければいずれ行き詰まります。
都度儲け話を見つけてきてそれに対応するような短期的な経営方法ではすぐに頓挫してしまいます。

■勉強不足

社会情勢やビジネスに関するトレンドは常に変化し続けています。
経営者としては常に変化に対応できるように日々勉強を続けていく姿勢が必要です。
経営者としての向上心が無いとそうした行動が面倒に感じてしまい、今のトレンドから引き離されてしまいます。
勉強というと大げさかもしれませんが、トレンドに興味を持つというだけでも新しい視点を追い続けることができます。

■経理面が不得意

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多くの経営者の方がドキッとするかもしれませんが、経理面を不得意にしている場合、企業倒産のリスクは比較的高いと言えます。
営業や開発など攻めの経営面では力強さを発揮できるものの、経理面が全くダメとなると自社の状況把握が正しくできず、資金管理などの面で突然の危機に立たされるリスクが高まります。
キャッシュフローの状況がどうなっているのか、支払いに必要な現金は十分足りているかなど、経営者が最低限把握すべきことがわかっていないと、突然の資金ショートで黒字倒産という事態もあり得るので注意が必要です。

■部下を育成できない

人材の面で悩みを抱える経営者は実に多く、採用や育成などの面で苦労されているのが見て取れます。
この問題はどの企業も多かれ少なかれ抱えているものですが、社長自身の部下育成能力が低いと根本的な解決は容易ではありません。
人望が無く人が付いてこないということもあるでしょうし、ほめ方、叱り方が分からずに部下が育たない、対立を避けたいあまりに友達感覚になってしまうなど、具体的な原因は異なるとしても部下が育たないと業務が上手く回らなくなるので、結局は経営者にそのしわ寄せがきます。
人の育成や管理がどうしても性に合わない、苦手だという場合は、人材育成に長けた外部人材などのスカウトも考える必要があるでしょう。

■リーダーシップがない

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経営者にリーダーシップがあるかどうかで組織の強さに雲泥の差が出てきます。
組織の人間関係などを顧みない余りに強硬な姿勢は避けるべきですが、必要な判断をトップダウンで下したら全社一丸となって進んでいけるよう、社長はリーダーシップの取り方を身に着けるべきです。

■お人よし過ぎる

頼まれると嫌とは言えない「お人よし」な人は私生活では好かれるかもしれません。
しかしビジネスの世界ではお人よしな性格が裏目に出て、利益を出すことに後れを取ったり、ライバルに差を付けられてしまうということもあります。
ビジネスではある意味強欲さが必要な面もあるので、優しさだけではやっていけません。
福祉方面やボランティア活動、あるいは非営利事業などを元々やっていて、これを営利事業に転換するようなケースでは、元々の性格が優しい人が社長になるケースが多いかもしれません。
人格を無理やり変える必要はありませんが、経営者として厳しいモノの見方も必要な時があるということは理解が必要です。

■公私混同がある

会社存続の面でも従業員の就業環境の意味でも、公私混合がある経営者がいると非常に問題です。
会社は自分のもの、社員も自分のものということで、平気でパワハラをしたり、自分勝手に人事をいじったりする社長は実際いると思います。
また会社の金を私生活の遊興費に使うという社長も見聞きすることがあります。
このような社長の元では安心して仕事ができませんから、社員は育たずすぐに辞めてしまうでしょうし、評判が悪くなって良い人材も入ってこなくなります。
個人事業であればそもそも経営と個人の分離が無いのでお金は基本的に自由に使えますが、それでも事業に必要な資金を使い込んでしまえば経営に支障が出ます。
また人を雇っている場合は個人事業でもやはり問題がでるでしょう。
結局は経営に支障が出て会社を潰してしまう可能性が高いです。

■まとめ

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本章では倒産する企業の経営者が持つ特徴や共通点について見てきました。
会社経営は多面的な能力や資質が求められ、誰でも簡単にできるものではありません。
元々が難しい職務であるところ、さらに良くない資質が伴えば会社倒産のリスクは上がります。
もし心当たりがあるならば、改める努力が必要です。